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2006年 04月 15日
私はイタリア・セリエAのACミランのファンであり、そしてもちろんイタリア代表も好きです。
では、サッカーのイタリア代表(アズーリ)と言えば? それはカテナチオ。世界で最高峰の守備を魅せ、カウンターを主体とした素早い攻撃を仕掛け、1-0で勝利する。元オランダ代表のヨハン・クライフは「守りきって1-0で勝つより、攻めきって4-5で負ける方がいい」という名言を残し、ボールを支配し点を取ってこそ観客を魅了できると言うが、私は攻撃的なポゼッションサッカーも美学なら、1-0もまた一つの美学だと思う。 その「1-0の美学」を象徴とも言える存在だったのが過去のアズーリだった訳ですが、どうも今年のリッピ監督率いる2006年アズーリにはこれは当てはまらないようです… 上のフォーメーションが現在のアズーリの予想ベストフォーメーションと、その控え。リッピ監督はいろいろな選手を試してきましたが、もうほぼ7割以上は固まってるという事なので、上の感じでほぼ間違いないんじゃないでしょうか?第3GKとしてアメーリアかデ・サンクティスが入り、他にはインザーギ、パスクァレ、ペロッタあたりが割り込んでくる可能性もあるが。 確かにタレントは揃っており、中盤から最前線にかけてはかなりの層の厚さ。中心となる王子トッティは怪我で戦線離脱中であるが、以前のトッティ一人欠いただけで崩れていた攻撃陣では無く、トッティ不在時はデル・ピエロを加えた3トップシステムに変更するという戦術も備わっている。今のアズーリの攻撃陣は誰か一人欠けた程度で崩れるほど柔なものでは無くなっているようだ。 では、守備はどうだろうか?確かにスタメンは文句無し。守護神ブッフォンは名実共に世界最高のGKであり、F.カンナヴァーロとネスタのCBコンビも間違いなく世界最強。この評価はここ数年変わる事が無く、今年も間違いなくこの3人は最高の選手。さらにここ数年で世界最高のSBの一人とまで言われるようになったザンブロッタは左右両方をこなし、他のSBもクラブで好調を維持してる選手が多い。もちろんGKはイタリアは宝庫、控えに問題があるわけが無い。 じゃあ、どこに不安があるのか?それはやはりCB。F.カンナヴァーロ&ネスタが最強である反面、あまりにも薄い控え。怪我の多いポジションであり、さらにネスタは大舞台での弱さを見せる。にも関わらず、控えとして安心して任せられるのはマテラッツィ一人という状況は厳しい。第4CBとして有力視されているバルツァーリですら代表当確とは言えない選手で、しかも他にアズーリのCB候補として名前の上がる選手は非常に少ない。 スタメンがしっかりしてるなら問題無いじゃないかと思うかもしれないが、アズーリにはこれは当てはまらないと思う。数年前のアズーリならバレージとマルディーニ(後にF.カンナヴァーロとネスタ)こそ不動だが、他のポジションは常に激しいポジション争いがあった。他の国がうらやむほどのDF宝庫であり、さらにSBもこなせる選手が非常に多かった。それが今は無い。 原因となってるのは、アテネ五輪代表を中心とした20歳中盤の選手たちの伸び悩み。SBのグロッソ、ザッカルドこそ代表に選ばれるようになったが、肝心のCBはバルツァーリがやっと目途が立ったという感じ。バレージ、ベルゴミ、コスタクルタ、フェラーラ、マルディーニ、F.カンナヴァーロ、ネスタと続いてきた素晴らしいアズーリのCBが、この世代で途切れてしまった印象は否めない。 つまり今のアズーリには、F.カンナヴァーロとネスタを脅かす存在が居ない。本来ならレグロッターリエ、フェラーリ、ボネーラと言ったところがこのポジションにいる筈なのだが、揃いも揃ってコケてくれたのが原因だと言う事になるわけです。そうなってくると、恐らくF.カンナバーロが代表を去った後はカテナチオは崩壊します。次の北京五輪代表組にはかなり有望な選手が多いという事ですが、彼等がフル代表に出てくるのはもう少し先の話ですしね。 そういった現状もさる事ながら先の事も考えてか、リッピ監督も今のイタリア代表は攻撃的なサッカーをすると言ってます。恐らく今年のアズーリは今までの堅守速攻のカウンターサッカーでは無く、ボールを支配する攻撃的ポゼッションサッカーを展開してくると思います。これがカテナオチオ崩壊の危機からくる苦し紛れの打開策になるのか、それとも新しいアズーリの形になるのか。注目してみたいですね。 ちなみにこの現象はセリエを見てても解ると思います。カペッロ監督率いるユーヴェこそカテナチオを保ってる感じですが、ミランは明らかに守備に苦しみ攻撃主体のチームへと変わってしまっている。さらにインテルも攻撃的なポゼッションサッカーを展開している(インテルはイタリア人は少ないですが)。その他のクラブを見ても攻撃をメインとしたチームが多いのは明らか、3トップのクラブも多くなってますね。 私はそんなミラン、そしてイタリア代表は正直微妙なんです…やはりミランとユッヴェントス、そしてイタリア代表には「1-0の美学」を魅せて欲しいのですよ。だから世間ではイタリア代表が優勝候補と言われていますけど、私は正直、今年のアズーリはあまり応援してません…ミランはいつでも応援してますが(笑 最後に。まぁこれはあくまで、全てが「イタリア(アズーリ)にしては…」という前程で話をしているので、やはり他国からしてみればイタリアの堅守は健在なのかもしれませんが…
by hare-blog
| 2006-04-15 00:36
| スポーツ
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